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「本年の展望」【京都府医師会長:森 洋一】
本年の展望

京都府医師会長 森 洋一

 本年4月1日より15年ぶりの消費税増税が実施されました。福田政権下で設置された「社会保障国民会議」で議論され、民主党政権下でも継続的に議論された上で「社会保障制度改革国民会議」にて、伸び続ける社会保障費の財源に消費税を充てるとともに、自助を主に、共助を従として公助は最後の補完としての位置づけをされ、安倍政権で社会保障に資するとして消費税増税が実施されるに至りました。安倍政権では、経済政策、中でもデフレ脱却、景気対策を喫緊の課題として3本の矢として強引に経済政策を展開している事はご承知の通りであります。しかしながら、3本目の矢としての成長戦略が予定通りに実施できるのか、消費税増税を上回る成長を実現して経済全体を緩やかに成長軌道に乗せる事が出来るのかどうかが大きな課題であります。
 見通しはどうでしょうか、私は相当厳しいと考えています。成長戦略を軌道に乗せるために、消費税増税が景気を頓挫させないためにとして、企業へ減税や自動車関連の減税を企図するなど庶民から薄く広く増税を実施し、大企業の経営の後押しを基本政策として推し進める事は、果たして消費税増税の本来の目的に適うのかどうか、はなはだ疑問であります。また、医療を成長戦略の重要課題に据えた事に対しても大きな疑問を抱きます。そもそも、医療はかつてからいわれてきたように、国民の健康と生命を守るための基本的な制度であるべきであり、社会的共通資本といわれているように、国が安全で安心な生活を国民に提供するためのものでなくてはなりません。医学・医療の発達とともに進んでいく、結果として経済成長を推進していく事はあっても経済発展の起爆剤と位置づける事は国民の生命を守るのではなく、国民の健康と生命を経済活動の踏み台、資源としてとらえる事であり、安全と公平な医療提供体制の崩壊に繫がるものとなることは明白です。近畿地方では、国家戦略特区として関西で、京都、大阪、神戸を核として医療を成長戦略の核として取り組もうとしています。府医としては、経済最優先の特区内において、混合診療の全面解禁や株式会社の参入により、医療のみならず、医学の先端研究においても、医の倫理を外れるような経済最優先の取り組みには積極的に反対の声を上げて行かざるを得ません。そのためには、地元の首長を始め議員の皆さんに医療というものを理解して貰う事が必須となります。地区医師会の先生方の働きかけも必要となりますのでよろしくお願い申し上げます。
 一方で、現在、医療事故調査制度創設や病床機能の再編想を盛り込んだ関連法案が一括法案として国会に上程され、6月までには審議・可決される予定であります。これだけ広範囲の医療関連法案を十分な議論もなく一括法案とする安倍政権には、呆れ、怒りを感じてしまいます。この政権に国民の明日を任せられるのか甚だ疑問であります。
 この第6次医療法改正は、我が国の医療を大きく変化させる大改革に繫がる事は必至であります。基本的には、医療機関の機能分化・強化と連携、在宅医療の充実と医療介護との連携強化を軸としたもので、その詳細と将来的な展望については逐一機会あるごとにご報告をいたしますが、日医の動き、対応は緩慢であり危機感が欠如していると言わざるを得ません。際限なく増加してきた7:1看護病床や地域医療支援病院の再編を目指して、その算定基準を引き上げ、病床のあり方が大きく変更されようとしております。病床機能の再構築を諮るために、病床機能を病院自らが決定し都道府県に届け出する事が義務づけられます。「病床機能報告制度」と呼ばれるものですが、状況によっては7:1入院基本料を算定している病床が9万床減少すると言われております。さらに、平均在院日数を引き下げるという事で患者さんの移動がどうなるか予測がつかないというのが現状であります。病院の機能の再編は、病院の経営に直結するものとなります。病院団体との協議を踏まえ、地域に必要な病院、病床機能を確保できるようなシステムにしていかなければなりません。 
 さらに、「地域医療ビジョン計画」は、従来の地域医療計画に各都道府県で、将来の人口、疾病数推計をもとにした二次医療圏毎の医療提供体制の再構築を求めるものであり、地方分権と言えば聞こえは良いのですが、地方の自治体の力量、都道府県医師会の力量によっては大きな負担となるだけではなく、推計によっては、医師、看護師等の流動性が大となり、結果として地域医療の崩壊に繫がりかねない重大な変革となります。このことは、地域にとって大変大きな改革となります。府との対応は府医が中心となり検討、提言を進めてまいりますが、地域の実情を地区医師会でも把握していただいた上で、各自治体との協議を進めていただき地域に適切な地域医療が提供できるような体制を、医療関連団体とも連携をしていかなければならないと考えます。
 既に、成立しております医療安全関連二法とともに、今回制定されます医療事故調査制度は、かつて、自民党政権下でも医療安全大綱として成立寸前までいっていたものが漸く前進する事になります。その内容は、かねてより府医の医療安全委員会で検討、答申をいただいてきたものとほぼ同様の内容となっており、我々の活動が一定の評価を得たものと思っておりますが、その具体的な方策が今後検討されガイドラインが出されてくるものと考えております。医療事故室の運営を拡大強化する事で対応可能と考えておりますが、専門的な知識や先進的な知識も求められ、専門医会、大学の協力などを求めながら進めて参ります。
消費税増税を契機に、社会も医療界も大きな転機に入ります。府医の活動の強化が求められますので会員諸兄のさらなるご指導ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。


| ご意見 (0) | 2014.05.01, Thursday 03:09 PM |
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