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[TPP」と日本の医療
「TPP」と日本の医療 
 TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)についての議論がなされています。それ以外に、
FTA(自由貿易協定)、EPA(経済連携協定)という言葉も耳にします。 
 TPPとはどういうものなのでしょうか。一度じっくりと考えてみる必要があります。

◆TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)
 参加国間での貿易に関する関税の撤廃を原則としており、例外規定が少ない完全自由
化ともいわれています。
 2006年にシンガポール、ニュージーランド、チリ、ブルネイの4カ国で発効。現在、シンガ
ポール、ニュージーランド、ブルネイ、チリ、米国、オーストラリア、ペルー、ベトナム、マレー
シアの9カ国が24分野で作業部会を設置して協議を進めています。(2111年3月現在)

TPP・・・物品の貿易、サービス貿易、政府調達、競争政策、知的財産権、人の移動等を含む
     包括的協定。2011年6月現在9カ国で交渉中

FTA・・・特定の国や地域間で、物品の関税やサービス貿易の障壁等を削除・撤廃する協定
      ○ 関税の削除・撤廃
      ○ サービスへの外資規制撤廃

EPA・・・ヒト、モノ、カネの移動の自由化、円滑化を図り、幅広い経済関係の強化を図る協定
      ○ 人的交流の拡大 
      ○ 各分野での協力
      ○ 投資規制撤廃、投資ルールの整備
      ○ 知的財産制度、競争政策の調和

 ~TPPには色んな国際事情も絡んでいます~ 
 当初は、2国間から始まった関税、障壁の撤廃による貿易の活性化でしたが、現在のTPP
は、環太平洋諸国が取り組もうとしている外交戦略とも絡んできています。日本では、輸出産
業と農業の問題が取り上げられていますが、大きな外交政策を含んでいる事を念頭に置いて
議論を進めなければならないと思います。一方でオバマ政権は、低迷する経済、雇用環境か
ら政権の浮揚政策としてTPPによる輸出の拡大を打ち出しており、協議中の24分野の指定
なども米国主導で決定されたものといわれており、TPPの中心的役割、牽引車として交渉を
進めていくものと思われます。

 ~TPPで全ての分野が自由化に?~
 TPPへの参加については、当初、農業だけの問題と受けとめられていましたが、実はほとん
どの産業に関係することが分かってきました。一方で日本が参加すると10カ国の貿易総額の
9割は日米で占めることとなり、大半のTPPのメリットは米国の一人占めになりかねないとい
われています。
 日本の経済、産業を大きく変えていくことになるTPPへの参加を、国民に十分な情報を明示
しないまま結論を得ようとしている政府の対応は拙速きわまりなく、日本の将来に暗雲をもた
らすものでしかないといえます。
  
 ~TPPへの参加で日本の医療はとうなる?~
 国民の安心・安全な医療の確保にTPPがどのような影響をもたらすのか、不明な点が多い
なか、「いつでも、どこでも、誰でも安心できる医療」を享受できる国民皆保険制度が揺らぐこ
とがあってはいけません。

 ◎日本がTPPに参加した場合 →→→ 医療分野における 問題点

 TPPによって受けられる医療に格差が生じる?  
 TPPへの参加により、外国人患者の受け入れが活発になることが予想され、当面は富裕層
に対する自由価格での検査・健診等が想定されています。これが拡大すると、お金持ちは自由
診療で先進の医療を受け、それに伴い、保険診療で受診している日本人患者の検査等が後回
しにされるおそれがあります。所得によって受けられる医療に格差が生じる社会になってはいけ
ません。

 様々な分野への市場開放圧力により、公的医療保険の給付は範囲が縮小する?
 TPPへの参加により、医療分野にも市場開放を求める圧力がかかる可能性があります。TPP
への参加や規制改革を推進する人達は、混合診療を全面解禁して、保険診療との併用による
自由価格の医療市場の拡大を強く要望するでしょう。これは外資を含む民間営利企業にとって
魅力的かつ大きな市場が開放されることを意味しますが、それに呼応して、国の財政的な理由
により皆さんが現在受けておられる保険診療の範囲が縮小され、結果として自己負担が増加す
るなど、社会保障が後退するおそれがあります。

 株式会社による医療機関経営への参入が自由化されると患者の不利益が拡大します
 営利を追求市内医療法人に比べて、株式会社は配当のためにより多くの利益を確保する必要
があります。そこで、下記のような問題が生じるおそれがあります。
 ■医療の質の低下
  株式会社が経営すると収入増やコスト圧縮を追求するあまり、乱診乱療、粗診粗療を強要さ
  れかねず、医療の質や安全性が低下する懸念があります。米国では実際にそのような事例
  がありました。
 ■不採算部門等からの撤退(地域医療提供体制の崩壊)
  利益を追求するため、不採算な患者や部門、地域(地方やへき地等)から撤退することが懸
  念されるほか、不採算であることを理由に医療機関経営自体から撤退することもあり得ます。

 医療の事後チェックにより、医療の安全性が低下する?
 日本は「国民皆保険」の下で、公的医療保険の給付範囲、医療の安全性・有効性を事前に慎
重に審査し、その質を維持してきました。
 TPPへの参加や規制改革を推進する人達には、混合診療を拡大し、特に新規の先進医療につ
いては保険診療の対象外として、安全性・有効性等についても「事後チェック」で行おうという考え
方があります。
 患者さんと医師では保有する医療情報にどうしても格差が生じますし(医療情報の非対称性)、
そのような医療であるからこそ患者さんへの治療に導入される前にチェックして安全性や有効性
等が担保されるべきなのです。
 経済成長ありきの市場開放によって、医療においても「事後チェック」を導入すると医療の安全
性を低下させるおそれがあります。

TPPへの参加検討にあたっては、国民皆保険を貿易と同様の「自由化」にさらすことのない
よう強く求めます!

 外国資本や国内の営利企業はTPPによって日本に自由価格の医療市場を迫っています。
 『混合診療の全面解禁』『医療ツーリズム』『株式会社参入』『外国人医師の受け入れ』はその象
徴であり、崩壊寸前の我が国の医療に壊滅的な打撃を与える事にならないよう、国民皆保険制
度を堅持するという観点から、これらの限度なき自由化を含むTPPへの参加には断固反対します。

日本が安定した公的医療保健制度を確立していることの重要さを政府のみならず、
国民一人ひとりが認識しなければなりません。みなさんも是非、一緒にお考えください!


 こちらをダウンロードいただきますと、カラーイラスト入りでご覧いただけます。 →みんなの医療KYOTO VOL.3 


| ご意見 (0) | 2011.06.29, Wednesday 12:55 PM |



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