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安倍政権再登板で何が変わるのか 民主党政権の残したものは?【京都府医師会長:森 洋一】
安倍政権再登板で何が変わるのか
民主党政権の残したものは?
                
 京都府医師会長 森 洋一
 12年12月16日、民主党は衆議院選挙で大敗を喫し、3年3ヶ月余で、政権の座を自民党に明け渡した。2009年8月、「コンクリートから人へ」「政権交代」を掲げて政権をえた民主党は、野党第一党とはいえ、57まで議席数を減らす大惨敗であった。機会あるごとに申し上げてきたが、この三年間の政権運営を見ていて、これ程国民の期待を裏切った政党はないであろう。政権担当能力に大いに不安があると申し上げてきたが、正直ここまでとは思い至らなかった不明はお詫びしなければならない。結果を見てものを言うことは容易いことであるし、多くの識者と言われる人達が一斉に批判をしている姿を模範として発言すべきであるが、今後のことも踏まえて、若干の意見を述べておきたい。
 鳩山総理、菅総理については、論評に値もしないといわざるをえないが、そのあとを受けた野田代表が、小沢氏との争いをもう終わりにしましょうと言いながら、消費税増税に走り、TPP参加に走った経緯は、政党の代表者としてそのプロセスは妥当であったのか、議論は尽くされたのかという点で疑問が残る。民主党政権全体において、熟議、透明性という言葉は踊るが、国民に議論は全く見えなかった。一方的なシナリオによる事業仕分け、個々人のパフォーマンスが議論を紆余曲折させて、結果として突然の結論だけが一人歩きした3年間の足跡をたどると見えてくるのは、以下の3点による政治への失望ではないだろうか。
 まず、「政権交代」をして、どういう国を作りたいのかというものが、最後まで提示できなかったことである。政党の綱領がないからと言われるが、加えて、政権交代を果たすために小沢氏と組んだことが結果として国のあるべき姿を示すことができないという結果を招いた。目的がなく、手段、方策だけがあったといわざるをえない。
 2点目は、議員個人には、良い人、魅力的な人もいるが、社会経験が乏しく、政治という清濁併せ呑む胆力の持ち主がいなかったことが結果としてまとまりのない政治に終始した要因である。政策課題が出るたびに、離党者がボロボロと出現する求心力のない政党では国民の負託に応えることはできない。
 3点目は、2点目とも共通するが、組織を指導、統率する能力に長けた人材いなかったという組織としての致命的な欠陥である。市民運動家として、弁護士として弁の立つ人材はいたが、心のこもっていない演説が多かった。
問題は、以上のような、政治家として、政党としての欠陥を最後まで自覚できずにいたこと、否、いることである。野田首相の、野田首相による、野田首相のための解散で、大惨敗を招いたのちにも、風が吹かなかったの一言で済ませては、党としての再起は望めない。何故、国民が離反したのか、脱原発を唱えたのに支持されなかったのはなぜか、政党が乱立したから、アゲインストの風だったからではなく、何故、そうなったのかを検証しなければ、二度と政権には戻れないであろう。早急に、我が国をどのような国にするべきなのかを真剣に議論し、国民に理解される目標を設定しない限り、参議院での敗戦も必至であろう。
 では、安倍政権には、これから期待できるのか。
 とりあえず、体調の方は何とかなるとの前提で議論を進めたい。再び体調不良に陥るようであれば、自民党も二度と政権を担うことができなくなるというより、日本の壊滅に陥ると考える。
 前回、安倍政権は、小泉政権を引継いで市場主義を推進すべく登場した。その基本的な考えは、右翼的といわれるように、保守的な色彩が強い。経済財政諮問会議の復活等、経済成長最優先の方針は、小泉政権の市場原理主義への回帰が予測され、伊藤元重氏の諮問会議への登用や、産業競争力会議への竹中平蔵氏の登用により、聖域なき構造改革の復活を再現することは間違いないと思われる。参議院選挙までは安全運転としており、社会保障に手をつけることはないとしている。70歳以上の前期高齢者の二割負担復活が見送りになるなど政権与党としての、選挙への配慮が滲んでおり、先送り体質の日本の政治からの脱却への取り組みはこれからと思われる。
 京大を中心としたiPS細胞などによる医療における成長分野は、難病の治療などにつながる可能性が期待されており、今後特区での開発などが進展することは間違いない。iPS細胞による新しい医療について、医師会として反対すべき内容とは考えないが、正面から受け止めて是々非々での議論を進めていく必要がある。一方で、日本経済再生本部を設置して取組む大企業中心の経済運営は、格差社会の拡大を招きかねず、社会保障切り捨てにつながる恐れは強い。現状、介護分野は、大手の営利企業を中心に展開されており、これからもその傾向は強まることが予測される。医療分野では、特区による創薬や、混合診療の導入などが危惧される。すでに、改革なくしてプラス改定なしと財政制度審議会財政制度分科会から報告書が提出されるなど、今後厳し局局面が予想されている。民主党政権により社会保障への切り込みが強化されるのは間違いない。
 日医としても、自民党政権との対応は、旧来の手法からは取組みやすいと言えるが、参議院選挙への対応を誤ると政治力の低下が決定的となり兼ねず、大きな試金石となろう。まさに、政治に左右されることなく国民の声を背景に政治に強く働きかけることが求められているといえる。新しい時代にふさわしい政治、社会体制の構築に向けての医師会活動が求められており、我々の責任は大きい。



| ご意見 (0) | 2013.03.01, Friday 10:42 AM |



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