平成21年1月20日、京都府医師会館において 第5回の医療安全対策委員会が開催された。
最初に橋本理事から「第三次試案の概要」と「第三次試案への学会の意見」を報告した。
特に注意を要する点としては、
・医療安全調査委員会への報告案件は、このままでは3000件ぐらいが想定されるので絞込みが必要になる。
・第三次試案の中の「重大な過失」の定義が曖昧である。
・WHOの「医療安全に関する設計図」の内容から比べ、調査委員会では「原因究明」と「責任追及」をすることになっているのが問題
である。
・「第三次試案」に関しては今後も引続き十分な検討がなされるべきであると考えている。 等があると説明した。
そして「第三次試案」に関連して、福島県立大野病院判決についての府医顧問弁護士事務所の弁護士による総括意見として、
・通常の業務上過失致死傷罪の構成要件として、「ア.予見可能性」、「イ.回避可能性」、「ウ.結果の発生」、「エ.過失と結果の間
の因果関係」があるが、本判決で医療刑事事件に関してそれらに加え、「オ.医学準則と(胎盤剥離)中止義務」の考えを示し、オ.
より無罪判決になった(刑事事件で医師の裁量の考えを認めた)。
・本判決では医師法21条の「異状」概念について「診療中の患者が、診療を受けている当該疾病によって死亡したような場合は、そ
もそも同条にいう異状の要件を欠く」と判示した。ただし本判決での判断理由では、医療機関は、過失の有無を24時間以内に判決
すべきことを強いられることとなり、今後の課題である。
を紹介をした。
齋藤委員長から「第三次試案」に対しての意見が求められた。委員からは、「選挙により政権政党がかわった場合は、第三次試案の内容そのものもかわることになる。」、「大野事件の裁判での原告・被告からの意見書をみても、同じ科であっても専門が違えば分からないことがあるのは明らかである。このことからも死因の原因究明には、医療の専門家で構成すべきである。法律の関係者や患者の代表者は必要がないのではないか。」との意見があった。齋藤委員長は、今後も「第三次試案」に関しては、動向を注目し、委員の方々も各専門医会で意見交換をして欲しいと要望した。
次に齋藤委員長より第6回医療安全シンポジウムに関して進行案について説明があった。まず一般の参加者に医療崩壊を分かりやすく説明して、「医療現場(産科・小児科等)の現状」、「医療安全対策への取組み」、「協働作業としての医療」、「信頼を回復し崩壊を防ぐには何が必要か」をディスカッションしていきたいと考えていると述べられた。そして第6回医療安全シンポジウムへの参加と会員への幅広い参加要請をお願いし、委員会を締めくくった。
次回の医療安全対策委員会は、平成21年3月17日(火)の開催。 |