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新政権は,原点に戻って政治の信頼回復を【京都府医師会長:森 洋一】
 8月30 日に,新たな民主党代表に野田氏が選出され,第95 代首相に就任されました。9月2日に新政権が誕生したのは,既報のとおりです。基地問題とぶれる発言で鳩山首相が退陣し,菅首相は,東日本大震災の対応のまずさと,国民だけでなく閣僚へも十分な説明もなく方針変更が繰り返され,独善的な政治運営で党内外から不評を買い退陣となり,2年前の民主党政権誕生時の熱気は,大きくしぼんでしまったと思われました。どうしてこのようなことになったのか,十分な検討が必要ですが,新政権への支持率は,予想より高いと報道されています。このことは,少なくとも,「コンクリートから人へ」「生活第一」を期待して,2年前に政権交代を支持した国民の期待は,未だ潰えていないということのように思われます。

 自民党の支持率が伸び悩み,野田新首相への期待が強いことは,多くの国民が,いまだに永年続いた自公政権の「政治とカネ」の問題と官僚との癒着で動かされてきた我が国の政治形態に対して,不信感を抱いているということではないでしょか。マニフェストは守らなければならないと思いますが,想定していた方策では財源が捻出できなかったことは事実であり,民主党政権は,謙虚にその見通しの甘さを反省し,説明するとともに,東日本大震災の復興を口実に単純に増税路線に踏み切るのではなく,4年間で実施するとしてきた,いわゆる民主党の目玉政策に優先順位をつけ,実施計画と工程の見直しについて謙虚に国民に説明し,その理解を得る努力をなすべきであります。おそらく,大半の国民は,2年前のマニフェストを4年間ですべて実現できるものとは考えていなかったであろうし,今後いかなる政党であってもあのように総花的に,選挙受けをするような項目を並べ立てて,いたずらに国民に期待を抱かせるような手法は通用しないと考えるべきです。国民もあまりにも都合の良い話には,乗らないよう真剣に考えなければならないと思います。この20 年間,我が国の経済を回復させることができずにきた政治が,今後10 年で,大きく経済を回復させることができるとは考えられません。それが可能であれば,リーマンショックがあったとしても,すでに日本の経済は回復基調に入っていなければならないと思います。これだけの期間,偉い経済学者がいろいろ提案をしてきましたが,未だにどのような経済政策が正しいのか結論が出ていないことを現しています。経済成長も必要でしょうが,経済に見合った政治という考え方も必要な時代かもしれません。

 各種アンケート調査の結果でも,大半の国民は医療介護を中心とした社会保障の充実を求めています。国民が安心して生活し,健康で生き甲斐のある一生を終えるには,将来への安心がなければなりません。我々は,以前より,社会保障を充実させることは,雇用を拡大し,内需の拡大にも寄与すること,また,雇用を安定させ内需を拡大することで我が国の経済構造を変化させ,日本の社会のあり方を変える大きな起爆剤になるのではないか,というよりは,社会保障を充実させ,社会状況,経済状況を一定程度安定させることが,安心して我が国の経済状況や新たな産業構造の変革に着手するためには必要ではないかとしてきました。

 東日本大震災を契機に,国民の生き方,考え方も大きく変わろうとしています。被災地の復興を日本そのものが生まれ変わる第一歩とすべく,政治も社会も大きな一歩を踏み出さなくてはならないと思います。残念ながら,震災復興の予算措置などは国会を通過しましたが,貴重な財源をもとにした復興計画は遅々として進んでいないと言わざるをえません。新政権は,党内融和に腐心されたバランスの良い政権となりそうですが,ミッドフィルダー中心でパスワークが上手いだけのかつての日本代表のような無難なサッカーでは,この苦境を乗り切ることは困難です。また,「素人みたいなものです」との発言が2,3の閣僚から出ていますが,日本の将来を担っていこうという人たちが,謙虚と言えば謙虚でしょうが,このような発言をすることは,国内外に政権の見識が問われかねません。政権に就く,閣僚となって国を動かす責任の重さをもっと強く認識し,国民の政治への信頼を確保しなければ,我が国に将来はないといえるでしょう。

 2年前の政権交代以前から,この日が来ると何故もっと与党としての政治力の強化,経済や社会保障政策への勉強をしてこなかったのでしょうか。政治家にとっての,政治への責任は重いとすべての国会議員が言われます。多くの有権者の支持を得て当選されていますが,その一票の重さとともに,対立候補へ投票された一票も政治家としては重く受け止めなければなりません。我々医療従事者が,国民としてその社会保障のあるべき姿を,医療制度のあるべき姿を国民に提示していくことが今ほど大切なときはないと思います。国民の健康と生命を守る医師が,医師会が一丸となって国民の信頼を背景に社会保障のあるべき姿を政治に訴えていく。現在の与野党は,多少の意見の相違はあるとはいえ,社会保障の充実を無視しては政権を獲得したり維持することは困難な社会状況です。しかしながら,国会,地方議会を含めて医療,介護のあり方を理解している方は少ないというのが現状です。我々が声を上げていくことが,政治の医療への理解を強化しますし,国民の安心,健康と生命を守る政治こそが,これからの社会のあり方,国家のあり方につながると思います。そして,政治が国民のために何をなすべきかということを真剣に考え,与野党を問わず,政治家の国家観,創りあげたい社会のあるべき姿を真摯に議論し,提示していくことが,政治の信頼回復につながるのだと思います。政治主導というのは,官僚との対峙だけではなく,国民のために何をなすべきか,政権の方針を明示して,そこに,官僚機構を上げて協力させることこそ真の政治主導ではないかと思います。

 民主党政権の原点に戻って,説明責任を果たし,議論をオープンにして政治を行う。かつての権力闘争に明け暮れる政治ではない,新しい時代の政治の幕開けとなることを期待したいと思います。



| ご意見 (0) | 2011.09.15, Thursday 03:14 PM |



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