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HOME > 会員トップ > 事務局からの連絡 > 保険医療部より > いわゆる「医療制度改革関連法案」に対する附帯決議について

事務局からの連絡

保険医療部より

いわゆる「医療制度改革関連法案」に対する附帯決議について 8月1日 京都府医師会:保険医療部

 「健康保険法等の一部を改正する法律案及び良質な医療を提供する体制の確立を図るための医療法等の一部を改正する法律案」は国会審議を経て, 6月14日参議院本会議において可決・成立した。その前日, 参議院厚生労働委員会において本法案が可決された際, これに対する21項目の附帯決議が採択された。日医は衆参両院の厚生労働委員会における参考人意見聴取に内田常任理事, 竹嶋副会長を送り, 医師会としての意見を附帯決議や今後の政省令に反映すべく努力されたようであるが, 府医の保険医療担当部会としても, この附帯決議について検討を加え, 今後の対応の一助としたい。
 
 様々な団体, 立場の思惑が絡む中で成立した医療改革関連法の附帯決議であるが故に,当然のことながら, 日医の意向のみでなく, 随所に『保険者機能の強化』を求める保険者の意向が色濃く反映されている。また厚労省の従来からの路線である「病床削減(平均在院日数の短縮)」・「生活習慣病の予防(保健指導を含む)」が社会保障費の削減に寄与するとの信念(?) も揺らぎなく貫かれている。
 
 今回の健康保険法等一部改正案において, 基本方針として掲げられている「医療費適正化の総合的推進」や「あらたな高齢者医療制度の創設」, 「保険者の統合・再編」の3本柱は相互に不可分なものであり, 附帯決議の第2, 3, 5, 6, 7, 8, 9, 10, 17項はこれを裏打ちしたものと考えられる。とくに第10項の療養病床の削減については, 既定の路線として, いとも簡単に「老人保健施設等への円滑な転換を支援する」などと書かれているが, それが容易でない事はそれこそ簡単に想像がつく。もっと問題なのは, 在宅で介護・看護が出来るだけの社会的資源の整備もないままに, 「社会的入院」を敵視して, その解消を目指すということであり, 極めて乱暴な手法であると言わざるを得ない。すき好んで「社会的入院」をする人はいない。国家の政治が貧困であるからこそ存在する現象であろう。その他, 第2項の「…後期高齢者支援金を負担する保険者等の意見が広域連合の運営に反映されるよう, 保険者協議会の活用等について指導を行う…」, 第3項の「後期高齢者医療の新たな診療報酬体系については, 必要かつ適切な医療の確保を前提とし, その上でその心身の特性等にふさわしい診療報酬とするため…」など看過できない文言がたくさん書き込まれている。また, 第7項の「レセプトのオンライン化完全実施」は患者医療情報のデータベース化を図る国や保険者にとっては歓迎すべき内容ではあるが, 健診データも含め国民個々の医療情報を国が一元管理することの妥当性, 医療機関の守秘義務の問題等について, 本来の受益者たる国民の意思はどこにあるのかなど, 議論を尽くすべき様々な内容を含んでいる。
 
 医療法等の一部改正案に関するものは第11, 12, 13, 14, 15, 16, 17 (重複), 18, 19,20項であり, 部分的には評価できる面もあるが, 地方行政や医療機関に対する努力義務を強いるものが多い。第11〜14項は改正案の「へき地等の特定地域, 小児科, 産科などの特定の診療科における医師不足の深刻化に対応し, 医師等医療従事者の確保策を強化する」との目標に対応するものであるが, 医療者だけに負担を強いる内容にならないよう望みたい。第17項には地域連携クリティカルパスの普及や在宅医療の対象範囲の見直しについても言及されている。
 上記項目以外は残り少なくなったが, 第1, 4, 21項は医療者側として比較的純粋に評価できる。特に第21項は『国民生活の安心を保障するため, 将来にわたり国民皆保険制度を堅持し, 平成十四年の健康保険法等の一部を改正する法律附則第二条第一項に明記された, 「医療保険各法に規定する被保険者及び被扶養者の医療に係る給付の割合については,将来にわたり百分の七十を維持するものとする」ことを始めとして, 安易に公的医療保険の範囲の縮小を行わず, 現行の公的医療保険の範囲の堅持に努めること』とあり, 浮かんでは消える「保険免責制」を否定する根拠にはなりうると思われる。第1, 4項目に関しては「…保険給付外の範囲が無制限に拡大されないよう適切な配慮をすること」, 「…低所得者への十分な配慮を行うこと」など感覚的な表現であり, その実効性は未知数である。
 
 今回の附帯決議全般をわれわれ医療側から見ると, “勝ち取った”と表現するにはいささか貧弱な内容であると感じられる。今後, 政省令等で少しでも改善されることを期待するが, 今回の附帯決議の内容をみていると, 支払い側やその他の勢力も介入してくると思われるので, 政省令で改悪になりうることも想定し, 注視する必要がある。日医の新執行部も発足後まだ3, 4ヶ月であるので, 当面はその手法などを見守るしかないが, 成行きによっては日医の代議員会等での追求が必要となるであろう。
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