平成20年9月16日、京都府医師会館において 第2回の医療安全対策委員会が開催された。
最初に橋本理事から平成20年度 第1回医療安全講演会についての開催状況の報告があった。
続いて協議に入り、服部弁護士から裁判事例として「未破裂脳動脈瘤の存在が確認された患者が、コイルそく栓術を受けたところ術中にコイルがりゅう外に逸脱するなどして、脳梗塞が生じ死亡した事故において、医師の説明義務違反が問われた事例」の説明があった。
一審・・・・説明義務違反と死亡との因果関係を認めた。
控訴審・・・説明義務違反はない。
最高裁・・・コイルそく栓術に関して十分な審理をしていないとのことで差し戻し。
差し戻し控訴審・・・医師の説明義務違反を認めた。しかし説明義務違反と死亡との
因果関係は認めず。
服部弁護士は、医師が後になって説明義務違反を問われないようにするためには、説明内容をカルテ記載する必要がある。場合によっては説明内容を事前に「複写のチェックシート」にしておき、チェックして患者に渡したことをカルテに記載しておく方法が考えられると説明された。上田委員からは今回のケースで説明義務違反が問われるのは厳しい判決と言えるが、当時コイルそく栓術に関して経験を十分にもった医師は少なかった。また現在でも脳動脈瘤の統計的なデータも少ないので、患者に説明するにしても比較したデータを示した説明が出来ないとの指摘があった。他の委員からは説明責任を問われないようにするには、医療水準やエビデンスについて確立していないものを何処まで患者に説明すべきか難しいとの意見があった。
続いて齋藤委員長から現在までの「医療安全講演会」・「医療安全シンポジウム」に関しての説明があり、開催案について意見を求められた。
協議の結果、平成20年度 第2回医療安全講演会に関しては、前年の医療安全シンポジウムの時に予定が合わなかった、九州大学の鮎澤 純子准教授に会員向けの医療安全の講演を依頼することになった。
第6回医療安全シンポジウム(平成21年2月21日京都テルサ・テルサホール)の開催に関しては、医療崩壊については現在でもマスコミ等でも取上げられ、府民・市民とっても重要な関心のあるテーマであるので、昨年に引続き、「医療崩壊と○○○○」〜○○(さらに・続・再度)、医療現場からつたえたいこと〜のテーマで開催していくことが決定した。
医療崩壊と○○○○については、総論が良いのか、例えば「産婦人科」・「小児科」といった絞った内容が良いのかは、原案を作成し次回の委員会で引続き検討をすることになった。
最後に橋本理事から、穿刺器具に類似した医療用器具の使用に関してのデータ収集の依頼があった。次回の医療安全対策委員会は、10月21日(火)の開催となった。 |