平成24年6月19日、京都府医師会館において第1回の医療安全対策委員会が開催された。本委員会は各専門医会、病院団体、京都府看護協会、京都府薬剤師会、学識経験者、弁護士から選出された計24名の委員、並びにオブザーバーとして京都府・京都市で構成されている。
最初に、森府医会長より、「国内・国外ともに混迷する社会情勢のなか、医療安全という非常に大切な分野について、各専門医会などを代表する先生方の意見を十分活かして、京都の医療安全文化を向上させるべく取り組んでいくので、心からご協力をお願い申し上げる」との挨拶があった。
続いて、正副委員長選出が行われ、委員長には依田建吾氏(東山)、副委員長には澤 美彦氏(山科)と勝見泰和氏(宇久)を選出した。
その後、今期最初のディスカッションとして、各委員より医療安全に関するコメントをいただいた。以下、主な意見。
・患者に対して、全ての疾患が100%治るわけではないことを周知していかなければならない。
・“患者の権利宣言”など広く医師会員に対して働き掛けるようなテーマで取り組んでいきたい。
・悪い情報を患者に対して、どのように上手く伝えていくか。
・患者の疑問点には、何でも答えるように心掛けている。
・産科無過失補償制度の対象となる診断基準について、ガイドラインには、どこまで患者に説明すれば良いかなど、コミュニケーションについては書いていないところが気になる。
・良くなって当然とされる手術について、少しでも患者の期待と違う結果になるとクレームを言われる。
・患者が多く、速く診てしまうと、説明不足からトラブルに発展することがある。
・診療報酬体系的に、たくさんの患者を診ないと経営が成り立たたず、ひとりの患者にしっかり説明することが難しい。
・病院で患者自らに歩いて手術室へ行ってもらう取り組みをしていると、安全であるためにもかかわらず、サービスが悪いとのクレームが入った。この辺りの意図は広報していきたい。
・交通事故の診断では、被害者と保険会社の間に入って、治療費支払いのトラブルが発生しないように注意して、充分な説明をしている。
・柔整など医療類似行為と医療の違いを認識していない患者が多い。国の規制が甘いこともあり、トラブルの原因になる。
・保険診療より自由診療の方が、患者の要求レベルが高くなる。
・保険診療は行為責任、自由診療は結果責任。
・忙しいときほどコミュニケーション取るように注意している。
・モンスターペイシェントで困ったときは、警察に相談している。
・生活保護の患者が過大な投薬を要求して困っている。
・看護協会では、平成19年度より医療安全管理者養成講習会を開催し、多くの参加者を得ている。
・薬の種類が多く複雑で、事故が多いので、防ぐ取り組みをしている。
・4月より患者にお薬手帳を携行してもらい情報を添付する制度ができた。薬局と医療機関とのコミュニケーションが大切。
・インフォームドコンセントは、傷害行為を免責するための医者の義務。患者の自己決定権と医者の裁量権の両立が必要。
・医療行為には必ず何%かのリスクが存在する。
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